東村山、東大和、小平、国分寺、西東京、東久留米、清瀬、新座、所沢を拠点に東京・埼玉に対応中!
突然ですが、皆さんのお宅の屋根の形を知っていますか?
はじめまして、今回コラム執筆を担当する『吉田』です。
北海道から上京し、板金屋さんに中途入社し4年目の今日この頃を迎えています。
さて、初っ端の質問なのですが、「このような屋根の形だから、良い悪い」を言うつもりは全く無く、 気に入っている形ならそれが一番 だと思っています。ただ、皆さんがリフォームを考えたとき、屋根の形、各部の名称を、頭の片隅にでも置いて頂ければ板金屋さん、大工さん、塗装屋さんとの話がスムーズに進み易いのではないかと、思いこのコラムを書いてみました。
では、大まかな屋根の形と各部の名称を見ていきましょう。
簡単に言うと屋根の周りを軒先(のきさき)もしくは雨樋がぐるりと1周していれば、 『寄棟(よせむね)の屋根』 と呼ばれるものです。
基本的に屋根面が4面ありその面が合わさって造る形で、頂上の棟(むね)を 大棟(おおむね) 、その大棟から四方の角 (出隅(ですみ)) に伸びている棟を 隅棟(すみむね) 、雨樋が付いている屋根面の端を 軒先 と呼びます。
この基本の形に色々な部位、形が合わさって複雑な形になっていきます。(下の写真の右隣りのお宅のように)
そしてこの屋根は葺き替え工事でよく出会う形で、私には馴染み深い屋根です。
当社の屋根の葺き替え工事の施工事例がこちらです。
棟(むね)板金は、
皆様からのお問合せランキング 『強風や台風の次の日に庭に落ちている屋根のナニか?』 の第1位です。
上の写真の 右上の隅棟 を拡大した写真が下の写真なのですが、棟板金が飛んでしまっているのがわかります。
経年劣化により下地木材がやせ細ってしまい、釘が抜け棟が飛んでしまった状態です。
この状態でもすぐに雨漏りする事はないのですが、早めに補修、修理した方が良いと思います。
具体的な、棟(むね)修理方法の仕方はこちらで説明しています。
【コラム】台風や強風で屋根が飛んだ時の修理方法を現役屋根職人が教えます
写真のように軒先(のきさき)もしくは雨樋が対面にあると、 『切妻(きりづま)の屋根』 と呼ばれます。
屋根面が2面合わさって造る形で、軒先に対し ケラバ( 棟から直角に伸びた傾斜面の端 ) と呼びます。
この屋根なんですが、「 屋根 形 」で検索すると関連する検索キーワードの中に「 切妻屋根 ダサい 」と出てきます。 世間の人からすると古臭いイメージがあるみたいで不評なのが残念です・・・。
というのも、板金屋さんに 「 自分が家を建てる時、屋根の形は何にする? 」 と聞くとこの 『切妻の屋根』 と答える人がほとんどです。 なぜなら、他の屋根の形に対し、雨漏りしづらく、屋根の葺き替え工事のコストが安いという、見た目より実用性を重視しているからです。
ですので、今お住まいの屋根が切妻屋根の方、板金屋さんには好評ですので世間の声は気にしないで下さいね。
棟(棟に限らず板金物)は取り付けていく順番によって見え方が変わってきます。
なので、水の流れが関係のない所では、 よく人目に付く方から1本に見えるよう に取り付けていきます。
この取り付けていく方向を 『見付け』 と言い、板金屋さんのセンスが問われる部分ですね。
上記の切妻(きりづま)の屋根の片側がない屋根のことを、 『片流れ(かたながれ)の屋根』 と呼びます。
下の写真では、純粋な片流れの屋根とは言えないのですが、イメージとしては写真手前の片棟(かたむね)から下に向かった1面だけで造られた形の屋根です。
そして、近年モダンでオシャレ、太陽光パネルが乗せやすいとの理由で片流れの屋根が増えてきているそうです。
今まで見てきた屋根の軒先部分に、形は様々あるのですが 『ナニか』 が取り付けられていたのをお気付きでしょうか?
この 『ナニか』 は、年に1~2回しか出番がないんですが、重要なもので 『雪止め』 と呼ばれ、屋根からの落雪を防止してくれるものです。
特に、屋根の塗装直後や、太陽光パネルの上などは雪が滑り落ちやすいので、雪止めが付いていない軒先に車や植木鉢を置いている方は注意が必要です。
そしてこの 『雪止め』 は屋根材によってですが、後付けする事が出来ます。この雪止めの取付は義務ではないのですが、もし過去に落雪のせいでご自身の車や、ご近所さんにご迷惑をおかけしてしまった経験がある方、雪止めが付いていないお宅にお住まいの方は取付の検討をしてみるのも良いかもしれません。
雪止めに関しての疑問や詳しい説明はこちらでしています。
落雪を防ぐ「雪止め」って?雪止め工事に関するよくある10の質問
当社によく寄せられる「雪止め」に関するご質問とお答え
私の地元の北海道 (私が住んでいた地域ですが・・・) では屋根に雪止め、雨樋が付いているのを見たことがありません。
それは、雪は屋根から落とすもので、その際に雨樋も壊してしまう恐れがある為と、私は考えているのですが・・・
写真のように雪が落ちる先が歩道や隣接した家などの場合、フェンスを設けて雪が歩道まで滑り落ちないようになっています。
ただ、前述しましたが北海道では屋根の上に雪を溜めるのではなく、落とすものなので軒先から雪が落ちてきて危険です。そして、特に軒先は子供にとって近づきたくなる誘惑が一杯の場所なんです(氷柱が沢山できていたり、落ちてきた雪で雪山になっていたりと)。
もし、冬の時期に北海道に行かれる際はくれぐれも 晴れの日の軒先 には近づかないように、また近づけさせないようにしてくださいね。
一昔前までは、屋根の上を見ることはできなかったのですが、今はgoogleの地図アプリの航空写真などで簡単に屋根の上を見てみることができます。
これを機に皆様がお宅の屋根を見てみると、「ここに雪止めが付いているから、雪が降っても安心だ」、「屋根が傷んできているな」等の今まで知らなかった事が発見できるので面白いかもしれません。
今回紹介した屋根は一部分で一般的な屋根でしたが、冒頭で書きました通り、これらの用語を頭の片隅にでも置いて頂けると各職人さんとの会話がスムーズに進むのではないでしょうか。
このコラムを読んでくれた皆様が、(スマホを見ながら)下を向いて歩くのではなく、(屋根を見てみようと)上を向いて歩いてくれたらいいなと思います。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。